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源氏供養〈上巻〉

  • 投稿日:2006-09-18 02:07:53
  • カテゴリー:読書


源氏供養〈上巻〉

源氏供養〈上巻〉

中央公論社


源氏物語のことを最初に知ったのは小学生の頃だっただろうか。もちろん国語ではなく、社会科の歴史の授業の一環として「枕草子」の清少納言と「源氏物語」の紫式部を対で覚えたのだったと思う。平安時代の時代背景などにはまるで考えが及ばなかった小学生の私は、後に描かれたであろう紫式部の肖像画を見て「黒くて長い髪だなぁ」とだけ記憶に留めたのでした。

古典を授業で扱うようになるのは中学生になってからでしょうか。それでもとっつきやすい随筆の「枕草子」からでしたね。「春は曙 ようよう白くなりゆく山際 少しあかりて 紫だちたる雲の 細くたなびきたる」だったかな。
第一段を暗唱するような課題が出た気がします。

「源氏物語」のことをちゃんと読み進めるという授業は、高校時代だったと思います。古文の先生がそれはもう源氏物語にどっぷりはまってしまっている人でしたので、ほとんどの時間が源氏物語に費やされたようにも思われます。大学入試でも出題されやすいということもあって、ある程度中身を知っておかなければならないなんて言われましたので、みんな「あさきゆめみし」の漫画を競うように読んだものですが、私はもうちょっと強く源氏物語に興味を持ったので、活字でチャレンジしてやろうと思ったのでした。

で、文庫で出ていた橋本治の現代語訳「窯変 源氏物語」の一巻を手に取ったのでした。14巻まであるこの本はすごいボリュームで読み終わった頃には大学生になってしまっていましたが、時間をかけて読みこなすことができたのはやはり原作が面白かったのと、橋本治が現代語訳にすごい情熱を傾けていたからだと思います。現代人の私にもわかるようにちゃんとさりげなく当時の常識や人間の関係線を補ってくれていますが、それ以上に橋本治の源氏物語の解釈が満遍なく散りばめられていて、ものすごい文量に膨れ上がっています。

そんな「窯変 源氏物語」を通読した人のための副読本として(も使える)世に出ているのが「源氏供養」です。1000年前にこの物語を書ききった紫式部への「お疲れ様」の意味をこめた題とのこと。

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