旧ブログ/224
西の魔女が死んだ
- 投稿日:2005-02-20 00:00:00
- カテゴリー:読書
大体、中学生くらいの国語の授業から、文明と自然、物質と精神、
欧米の価値観と日本古来の価値観といったテーマの論説文を扱いはじめる。
二律背反の典型例としてわかりやすいのだと思われる。
そして、大体結びは物質文明に犯された日本は昔の豊かな精神文化を
取り戻すべきだ、といったように締め括られていた気がする。
それとは別に一と全、個人の自由と公共の福祉みたいなテーマもあった。
こちらは欧米の個人主義が日本にも浸透してコミュニティが成り立っていないとか
そういった話に展開する。
このお話はどちらかというと後者の味が強い。
田舎賛美的な前者かと思っていたが、それはまた別の話。
あくまでも「まい」という女の子の話である。
まいは学校でいわゆる「女子のつきあい」に疲れて不登校になる。
まいは田舎でおむかいの家の「ゲンジさん」を毛嫌いする。
まいはどこか毅然としたところがあり、人とのコミュニケーションが
空回りしてしまうことがある女の子だ。
決してまいが悪いわけではないのかもしれないが、
そういった子を腫れ物のように扱ってしまうことが世間ではままある。
ひきこもってしまう子も多いとのことだ。
まいの場合、おばあちゃんのいる田舎にいくことで、
別に人生を器用に生きたり、時にはへりくだって人間関係を円滑に運べるように
なるわけではない。まいは気持ちを強くすることで、自分に自信を持ち、
人間関係に疲れにくくなる。
しかし、ときには妄執にとり憑かれ、心を乱し、「ゲンジさん」への
嫌悪感を露骨に表してしまう。田舎を去る直前にはおばあちゃんへの不信を
拭いきれず「おばあちゃん大好き」の言葉が出せなくなる。
このまいの上下の揺れがストーリーの柱になっている。
魔女修行の過程がこの話のミソということになる。
転校後のまいはすっかりたくましくなって、まぁ、普通なので面白くはない。
そして、一番印象的だったのが、「そのおもしろい魔女修行=健全な生活」
であったことだ。
時間がないので、また明日続きを書きます。
Last-Modified