ツナとササミ

旧ブログ/19

西の魔女が死んだ

  • 投稿日:2005-02-22 12:35:42
  • カテゴリー:読書

新潮文庫のコーナーでベストセラーNo.1とかなんとか書いてあったので
手に取ってみた同タイトルの本。通勤中に軽く読める本を探していたので、
ボリュームもそこそこのこの本を購入しました。
西の魔女・・・といえば最初に連想されるのは「オズの魔法使い」でした。
ドロシーが黄色いレンガの路を進む様を想像していたら、
「まい」という少女が、田舎のおばあちゃんの家でしばらく暮らすことになる話でした。

あらすじは、

おばあちゃんの訃報を聞き、母親の車に乗り込み、中学校から田舎のおばあちゃんの
家に移動する「まい」。2年前にまいは不登校となり、おばあちゃんの家に預けられて
いたことがあった。しかし、おばあちゃんの家での暮らしは都会のそれと異なり、
まいに生きるための力を授ける。そして、その生活(「魔女の修行」と称す)の中で、
まいはおばあちゃんと自然、田舎に惹かれていく。
ただ一つすばらしい環境の中にあって異質な「ゲンジさん」の存在を除いては。

まいは「生」に溢れる毎日の中で「死」についての考え方をも深めていく。
そこでおばあちゃんからヒントをもらい、そしてある約束をする。
漠然とした不安から解放されたまいは、ますます「魔女」としての力をつけていく。

父親の提案で、まいは転校することを決意する。
それはおばあちゃんとの別れでもあるが、既にまいは魔女の修行を通して
自分の力に自信をつけていた。
しかし、田舎を離れる直前にまいはゲンジさんへの不信感から
おばあちゃんとケンカをしてしまう。
まいは反省や後悔をしつつも、おばあちゃんとは完全には仲直りできないまま
田舎を後にすることになった。

2年後、久しぶりに訪れた田舎にはおばあちゃんはもういない。
もはや「ゲンジさん」に関する確執は消えており、まいの頭の中は
おばあちゃんのことでいっぱいになる。
まいはそれでも毅然とおばあちゃんの死を直視することができるようになっていた。
そして、ふと気付くとおばあちゃんはまいとの約束を守っていてくれたのであった。

といった感じです。(若干、主観混じりですが)
文章に派手な装飾はなく、ソフトに読み易い感じでした。
ストーリー中にいくつか植物の名前が出てきます。
それはもちろん山の中での生活が中心になっているからですが、
イギリス出身のおばあちゃんが庭に植えたハーブもいくつか出てきます。
また、既に亡くなっているまいのおじいちゃんは鉱物が好きで
鉱物の名前もいくつか出てきます。
そんな自然の中の名前が文章の中に散りばめられていて
いいアクセントになっている印象です。

石の名前や植物の名前って昔は意識して覚えるようなものではなかったのでしょうか。
前に宮沢賢二の作品を読んでいたときにも感じましたが、圧倒的に知っている
単語が少ないのですね。名前を聞いてもあまり植物や鉱物の姿が浮かびません。
実家が群馬の山の中だというのに・・・。でも、東京の人と話していると
私以上にそういった知識にうといとも思います。
おそらく、生活の中の意識に入ってこないのだと思います。
詳しい植物名はどうしても街路樹に限定されてしまうという。

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