旧ブログ/187
ファウスト
- 投稿日:2005-05-17 00:00:00
- カテゴリー:読書
現在、下巻の途中まで読み進めているところなので、
とりあえず上巻の話から。お話のあらすじは以下のとおり。
ファウスト大博士は偉大な学問を多数修めていたが、それは本人の真に知りたいもの
ではなかった。その心の隙間に悪魔メフィストーフェレスがつけこみ、悪魔との
契約を結ばせる。メフィストーフェレスの手によって若返ったファウストは
町の娘グレートヘンに恋をし、メフィストーフェレスの手引きで関係をもつにいたる。
ファウストと関係を持つにいたる過程で無垢な少女グレートヘンはメフィストーフェレスの
手引きでそれとは知らず、実母を毒殺してしまう。また、ファウストの子を宿すが、
教会から堕落した女のレッテルをはられ、罰を受け、子供を水に沈めて殺してしまう。
ファウストはグレートヘンを気にかけ、会いにいこうとするが、
グレートヘンの兄に遭遇し、怒れるその兄を刺殺してしまう。
悩めるファウストをグレートヘンから遠ざけようとメフィストーフェレスは
ワルプルギスの夜(魔女の宴)にいざなう。しかし、宴の最中にあっても
ファウストはグレートヘンのことが忘れらず、教会に幽閉されている
グレートヘンを救いにいこうとする。メフィストーフェレスの手引きで、
グレートヘンを外に連れ去る手はずは整うも、グレートヘンはそれを拒み、
神に召されることを選択するのであった。
ファウスト大先生は探求者として偉そうなことを嘯いていますが、
結局、「女」にもてたいために悪魔と契約したのですか?という
つっこみもできなくはないが、おそらくそういうことではないのでしょう。
ファウストが求めていたのは「美」とか「善」のようなもので、
その象徴として興味関心が女性に向かっていたのでしょう。
で、その結果見初められたグレートヘンはエラい目にあうわけですが、
天然系のボケボケ女が悪魔にまんまとだまされた。というつっこみは
ナンセンスですかね。これはファウストに対する篤い愛情ゆえに
メフィストーフェレスにいいように動かされてしまったしまったのですね。
メフィストーフェレスが小気味よくストーリーで動いているので、
二人の関係の特殊さと世間一般のスタンダードが明確に二分され、
とても読みやすいです。ほんと、メフィストはよくできたキャラクターです。
最後にグレートヘンが断罪されるシーンがとにかく印象的でした。
メフィストは彼女が「裁かれた」と評価し、天の声は「赦された」と評価するのですが、
ファウストが求めていたものはどちらでもないんですね。
そんなわけで下巻は彼がうじうじしたところから始まります。
やっぱ愛した異性が自分の愛が原因で死んじゃったらうじうじしますよね。
ただ、救いがあるのはグレートヘンが立派な信者であって、
ファウストに愛されながら死ねることを喜んでいたことでしょうか。
でも、ファウストの信仰心はグレートヘンほどあつくないので、そんな
気持ちもよくわからないのでしょうねぇ。うじうじしますね、こりゃ。
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