旧ブログ/182
炭酸飲料
- 投稿日:2005-06-01 00:00:00
- カテゴリー:その他
下巻の内容はものすごく内容がブッ飛んでいてなかなかまとめがたい。
地下に隠されているという黄金を担保とすることで財政難の帝国を救い、
皇帝の信任を得たファウストは、その命令で至上の美ヘーレナを現出させることになる。
虚無の世界からヘーレナを現実に連れ帰ったファウストはその美しさを
自分のものにしたいとギリシアへ向かう。ギリシアの一風変わった妖怪たち
とまじわりながら、パーリスに奪還されたヘーレナが祖国に戻ってきた場面へ
辿りつき、ギリシアの妖怪フォルキュアスに扮したメフィストの手引きで
ヘーレナはファウストを頼ってくる。二人は子をなすもその性向から
死んでしまい、ヘーレナも絶望の中で消えてしまう。
再び帝国に戻ったファウストは戦勝の褒美として、海辺一帯の土地を封ぜられ、
そこに理想の国を建てることを考える。着々と工事が進む中、丘に住む
老夫婦の住居を他に移して、国の成立する様を一望したいというファウストの
願いに対してメフィストは老夫婦を家ごと焼き払ってしまい、激怒した
ファウストはメフィストとの関わりを絶とうとする。
灰色の女によって盲いたファウストは、メフィストの命で自身の墓穴を
掘られている音を国が築かれ、自由が勝ち取られている音と
勘違いして、満足感とともに「時よ止まれ、汝は美しい」と声にする。
この言葉でメフィストとの賭けに負けたファウストは、メフィストに
地獄へと連れ去られそうになるが、グレートヘンの天上からの祈りに
よって、ファウストは天使とともに天上へと連れ去られるのだった。
ゲーテは人間は努力する限り迷うものであると考えていたらしい。
ごもっともである。怠惰にダラダラしているときの悩みなんて、
お昼に何を食べようかなぁ、ぐらいなものである。
劇中のファウストは結構クヨクヨ悩んでいる姿が描写されるが、
今ある選択肢から最善を選ぼうとしていたからこそなのかもしれない。
メフィストが賭けに勝ったにもかかわらず、ファウストの魂を
ゲットできなかったくだりは中々面白かった。メフィスト自身は
富や美といったものをファウストに与え続けていたのに、それでも
ファウストは満足することはなかった。しかし、ファウストの墓を
掘らせた途端に賭けに勝ってしまったのだから、なんで自分が
勝ったのかさっぱり意味がわからなかったことだろう。
「時よ止まれ、汝は美しい」なんて一度いってみたい言葉です。
それは自分の成長が止まった瞬間という意味では寂しいかもしれないけど、
満足感という見返りが欲しくなるときもあるのさ。
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