旧ブログ/173
続・電車男
- 投稿日:2005-07-02 00:00:00
- カテゴリー:映画
HGウェルズの短編集を読んだ。例によって岩波文庫だ。
ドラえもんが「もしもボックス」という道具を持っているが、
この短編はまさにそれだ。「タイムマシン」にしろ「盲人国」にしろ
現実にはない事象を仮想した場合、どんなことになるのかが
書かれている。思考実験小説と呼んでいいと思う。
理系的に事象について理論詰めで説明するのではなく、
あくまでも人間に関連付けて社会学的に話が展開されていくのも特徴
だろうか。どういった理屈でタイムマシンが作動するのか尋ねるのは
ナンセンスである。とにかくタイムマシンを手に入れた人間が
なにをするのかが重要なのである。
ウェルズ氏が学者としても活躍していたせいかもしれないが、
登場人物や環境の描写が極めて客観的であり、個性的なキャラクターは
特に出てこない。人物の特徴なども「職業」で語られることが
多いように思える。その部分で感情移入して読む話にはなっていない。
しかし、突拍子もない世界が淡々とリアリティをもって表現されて
いるので、その世界観に飲み込まれてしまう。
主人公とは別に仮に自分がその世界に立たされたら、
どんなアクションを起こすのかを考えてしまう。
そんな話が多いような気がした。
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